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今日の論理学:ハゲのパラドックス,連鎖推論のパラドックス,誤植など

ハゲに一本髪の毛を足してもハゲ。だから全員ハゲ、みたいな数学的帰納法への反論な回

次回は直観主義論理をやる。

連鎖推論のパラドックス

  • それぞれ個別に見れば一見妥当な以下の命題abcを真にできない
    • 命題
      • (a)頭髪が0本の人はハゲである
      • (b)頭髪が100万本の人はハゲではない
      • (c)全ての自然数nについて,頭髪がn本の人がハゲなら、頭髪がn+1本の人もハゲである
  • B(n)を頭髪n本の人はハゲであるを表す述語とする
    • (c)は∀n(B(n)→B(n+1))と表せる
      • cを否定する人は上記の否定¬∀n(B(n)→B(n+1))と同値の∃n(B(n)∧¬B(n+1))を真と認める必要がある
        • n本だとハゲだが、n+1本はハゲでなくなるようなnが存在する⇨そんなものはない*1
    • 命題abcは直感的に正しそうだが、同時に真にできない⇨矛盾する(パラドックスである)

ファジーな述語とクリスプな述語

  • ファジーな述語(fuzzy predicate)
    • ハゲである、のような曖昧な述語のこと
    • 曖昧な述語(vague predicate)とも言われる
  • クリスプな述語(crisp)な述語
    • B(n)∧¬B(n+1)が成り立つnが存在するような述語
      • 明確な境界を持つ述語
      • nは3桁の自然数である
        • 誤植p288:日本語と論理式の対応が取れていない
          • ¬B(n)∧B(n+1)が正しい
          • またはnは4桁未満の数である、という日本語にするか?
  • クリスプな述語しか扱えない古典論理の枠組みの中で、ファジー述語を扱うことでパラドックスが生じる

ファジー論理のセマンティクス

  • ファジー命題論理:FPLのセマンティクス(Graeme Forbes著:Modern Logic(199))
  • 原子式への割り当てV

【定義】FPLの原始式からなる集合をFとする。Fに対する真理値割り当てVは次のような関数である
V:F→[0,1]

  • 複合的論理式に対する割り当てルールV

(F¬) V(¬A)=1-V(A)
(F∧) V(A∧B)=min{V(A),V(B)}
(F∨) V(A∨B)=max{V(A),V(B})
(F→) V(A)>V(B)のとき:V(A→B)= 1-(V(A)-V(B)) それ以外:1

  • この定義は古典論理学の結合演算子定義の拡張になっている。

  • 意味論的帰結

Γ⊢C ⇔ V(C)<V(Γ)

パラドックスの解消

  • B(n)→B(n+1)の真理値は1ではない
  • B(n)の真理値はB(n+1)より常に高いので
    • 髪の毛の本数が1本でも少ない方がよりハゲ度は高い
  • よって命題abcの論理値cは1にならない(nの値による。0本~100万本の間で0-1の区間を推移する)
    • 再掲
      • (a)頭髪が0本の人はハゲである
      • (b)頭髪が100万本の人はハゲではない
      • (c)全ての自然数nについて,頭髪がn本の人がハゲなら、頭髪がn+1本の人もハゲである

  • そろそろ文字だけで論理式を表現するの辛くなってきた
    • tex使うか。
  • 関係ないけど隣で不動産屋の営業がマンションを売りつけようとしてた。頑張れ。

論理学をつくる

論理学をつくる

*1:この辺の説明は本中でも雑に書かれている